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【第22号】Airbnbから始まったインバウンドの扉

1面

 11月22日~25日まで、東京在住の帰国子女 エリー(平野恵理)さん、台湾人ウェイ(黄 介韋 ホワン ジェウェイ)さんご夫妻が、淀江の宿今津田中家に滞在、23日からは、エリーさんがスペインの高校に通われていたときにホームステイ先だったスペイン人ご家族4名(ホセルイスさん、ベゴニャさん、ハビエルさん、アネさん )、エリーさんのお友達でアメリカ在住のコロンビア人とその友達(ヴィヴィさん、シンシアさん)も加わり、8名の方と一緒に楽しい交流をしました。エリーさんは、幼少期からの海外暮らしが長く、英語・スペイン語が堪能で、海外に多くのお友達を持つ、とても優秀でチャーミングな女性で、今回は彼女の誕生日に合わせてお祝いも兼ねて、皆さんが来日されたということでした。エリーさんとのご縁で、素敵な皆さんと楽しい時間を過ごすことができました。

エリーさんとの出逢い

 エリーさんウェイさんご夫妻が淀江の宿今津田中家に滞在されるのは今回が3回目です。

 2020年11月に母屋の簡易宿所の許可を取得し、2021年3月に宿のホームページを完成させると同時に、Airbnb(エアビーアンドビー、略称「エアビー」)に宿登録をしました。アメリカ企業が運営する「エアビー」は、様々な国や地域で短期・長期のホームステイや体験を提供するオンラインマーケットプレイスで、宿のオーナーである私 洋子も海外の旅で活用しています。

 「サステナブルな暮らし体験」というフレーズに共感してくださったエリーさんご夫妻はGWに4泊5日滞在、一緒に農作物を植え、買い物に行き、山中さん収獲の貝なども使ったBBQをし、またご夫妻で自転車や車を使って近隣周遊され、その後もオンラインなどで交流。

 2022年10月の2回目の滞在では、はでかけや手刈りの稲刈りなどにチャレンジ。私が東京に行った時にも会うなど交流を続けてきました。

酒蔵見学からの大正蔵

 今回の旅程は事前にエリーさんと相談して、23日は千代むすび(境港)で酒蔵工場見学を予約。現在の酒造りに触れ、試飲をしました。

 夜は「淀江いろどりダイアリー」の企画「旧酒蔵でお食事会 in Galeria大正蔵」に参加。南米アンデス地方の音楽「フォルクローレ」の演奏を聴きながら、【淀江となり組(メキシコからUターンした大正蔵オーナーの奈津子さんと広島から移住してきた睦さんのお料理ユニット)】提供の食事を楽しみました。食後、施設内を散策。旧酒蔵の魅力を残しつつ、異文化も織り交ぜた空間に、感嘆の声が何度も上がっていました。


2面

天の真名井と本宮の泉

 殆どの皆さんが初来日でしたが、エリーさんの企画で、大山さんの麓から始まるマニアックな日本旅に…。

23日には天の真名井(弥生時代から生活用水として使われていた形跡がある)、25日には本宮の泉(一日3万トンの湧水量を誇る)、淀江の2か所の湧水地を訪ねました。

 いずれも観光客の居ない静寂の中で、「大山さんのおかげ」、約30年前の雪解け水が湧き出す自然の恵みに触れる機会となりました。天の真名井では湧水を汲んで帰り、宿で出すコーヒーやお茶、お鍋に利用しました。本宮の泉は紅葉がとても綺麗な時期で、清らかな水と紅葉で日本を感じてもらいました。

皆に喜ばれた食べ物は?

 宿では24日の夜、そして最終日の25日の朝に食事を提供しました。

 夜の食事は地元食材・畑の野菜を使った家庭料理、「鳥取和牛のすき焼き」&「近隣の漁港で獲れた魚介類と自家製野菜の海鮮鍋」。皆さんとても喜んで召し上がってくだささいました。特に醤油・みりん・酒・砂糖で味付けしたすき焼きの中に入った「焼き豆腐」が大人気! 食後は、男性含め皆で洗い物・皿拭きをしてくださり、あっという間に片付け完了!

 翌朝の朝食は、日本の朝ごはん。天日干しのはでかけ米きぬむすめ、豆腐とネギの味噌汁、焼き魚やサラダ、おぼろ豆腐、板わかめ、大山ハムウィンナーなどを提供しました。

大豆脱穀&餅つき

最終日2511時から、ありがたいご近所さん山中さんの全面協力の下、足踏み脱穀機と唐箕を使って、皆さんお気に入りの豆腐の原材料である大豆を脱穀してもらいました。その後、山中さんのしめ縄談義をエリーさんがスペイン語に通訳。そして、地元の皆さんにも手伝ってもらって餅つき開始。江戸の間でワイワイガヤガヤ丸めました。 

宿にはスペイン語が飛び交い、私 洋子もスペイン語圏の皆さんも「シー(はい)」と「グラシアス(ありがとう)」はお互いの母国語で言えるようになり、エリーさんの通訳のお陰で不自由なく楽しくコミュニケーションを取ることが出来ました。

行程表

11月23日(土)

米子空港~美保関~千代むすび(酒蔵見学)~天の真名井(湧水地)~大正蔵食事会

 

11月24日(日)

各自で朝食~稲佐の浜~出雲大社~松江城~武家屋敷~温泉(or 買い物)~夕食(すき焼き&海鮮鍋)

※温泉に入るのが嫌な方は洋子と一緒にスーパー まるごうで買い物

 

11月25日(月)

日本の朝ごはん~大豆の脱穀~しめ縄解説~餅つき~本宮の泉~植田正治写真美術館~大山寺参道~桝水高原~大山まきばみるくの里~(沈む夕日に向かって)~米子駅

※18時台の特急やくもで倉敷へ

※その後、東京へ

ハビエルさんのGoogleMap 口コミ評価

Yokosan’s traditional Japanese house provided a truly unforgettable experience for our group of eight, hailing from Europe, America, and Japan. Her hospitality was unmatched, offering delicious, authentic meals and impeccable service. Yokosan went above and beyond, organizing amazing local experiences that immersed us in the culture. Every moment was thoughtful and enriching. We felt so welcomed and cared for—this stay was the highlight of our trip! Thank you, Yokosan, for everything! She went above and beyond. This gave us a truly unique taste of what it’s like to do many of the traditional things in japan, from mochi making to japanese breakfast

 

 ヨーロッパ、アメリカ、日本から集まった8人のグループで伺いました。洋子さんと、彼女の経営される伝統的な日本家屋のお宿への滞在は、私達にとって一生思い出に残る経験となりました。

 彼女の本格的で美味しい日本食と素晴らしいおもてなしにはとても感動しました。

 また地元の文化や伝統を学べる貴重な体験を企画してくださったり、餅つきや日本食の朝食など「本物」の日本文化を体験できるユニークな機会を頂き、とても興味深かったです。

 ここに滞在出来て、彼女のおもてなしを受けたことが今回の旅で一番の思い出となりました。洋子さん、本当にありがとうございました。彼女は本当に素晴らしいホストです。

Elly(エリー)さんからのメッセージ

 皆さん先週末帰りましたが、終始、米子が一番よかった、洋子さんのホスピタリティが素晴らしすぎたと言っていました。

 何から何までありがとうございました。洋子さんのところに皆んなを連れて行って正解でした。貴重な体験の数々をありがとうございます!

 山中さんや皆さんにもよろしくお伝えください。

洋子の感想

 宿を訪れる国内外の方との交流はとても楽しい。観光庁の高付加価値事業で「日本の紀元・神話の国」がテーマのこの地。日本の旅をこの地から始めて他の地域に足を延ばす旅も提供していきたい。


3面

高付加価値なインバウンド観光地づくり

 (一社)山陰インバウンド機構「山陰の手仕事に出会う旅」造成事業にてモニターツアーが実施されました。この地で代々継承されてきた手仕事の美しさの通底にあるものを体感していただくために、手仕事の現場訪問だけではなく地域の特性や人々の精神性を知っていただくコンテンツも交えた3泊4日のツアーです。宿のオーナー洋子が専務理事を務めるBisuiDaisenは事業受託された(一社)Expeより、大山パートのコンテンツ造成を任され普段体験することが出来ない護摩行などをツアーを組みこみました。

BisuiDaisenパートでガイドを務めた松田彩子さんのFacebookへの投稿

 10月中旬に、国の事業のインバウンドモニターツアーのガイドをさせていただく機会があり、そこで6000年続くデザインの光を感じました。この事業は、旅行業を取得し、大山流域での日本に横たわる精神性を感じていただくジャーニーを提供されている(一社)Bisui Daisenの代表 大原徹さんが、数年に渡り調整されていた観光庁の事業。

 そんな大事な機会に、私がガイドをするというチャンスをいただきました。

 参加者の方々からは、こんなコメントが。

日本に50年以上暮らし、日本の文化や精神性について深く造形のあるイギリス人翻訳家兼エージェントの方が、

「あこの住んでいる場所は素敵な所だね。『大山さんのおかげ』ってみんなが言う意味がわかったよ。」と言ってくださったり、

アメリカで育った日系3世のテレビ局のプロデューサーをされている方は、

「自分のオリジンに立ち返ることができたよ。」

と言って、涙ぐまれていました。

 肌の色、目の色、お仕事、国籍などのバックグラウンドは関係なく、”Because of Daisen-san”「大山さんのおかげ」という6000年続くデザインは伝わることが改めて分かり、6000年前から多様なバックグラウンドを持つ人たちが重なり会うデザインが足元に広がっていただなんて..と未だに感動が止まりません。

6000年続くにはやはり何らかの理由があって、その時空を超えて今につながる普遍的なモノ、それを紐解き伝えていく。今、それに触れることが、沢山の人にとって救いになるでしょうし、かつてこの地が日本の表玄関で、大陸から人がなだれ込む人種のるつぼであったように、「大山さんのおかげ」を通してまたこの地に新たな積層をつむぎ直せるのではないかと思いました。

 今回のモニターツアーで、私のたどたどしい英語でも「大山さんのおかげ」は伝わること。

 もっと準備をしていたら伝えられることがあったこと。 

沢山ご迷惑をおかけしましたが、次に繋げられる手応えを感じました。

 ここ大山流域に積層するものを、私でも他者に伝えられるようになるまで育ててくださったBisui Daisenの皆様。

 多言語コミュニケーションについて熱いご指導をくださったROOTS中山 慶さん。

 そして、イギリスに留学するチャンスをくださった 吹野 博志さん。

他にも沢山の人達の支えの、教えのおかげでこの度貴重な機会をいただきました。

これを次に繋げられるよう、これから頑張っていこうと思いますので、引き続きサポートや応援、よろしくお願いいたします。 

ツアーの行程

1日目 鳥取空港⇒鳥取砂丘⇒大因州製紙協業組合⇒山根酒造⇒倉吉⇒山楽荘(護摩行・宿泊)

2日目 大神山神社早朝参拝⇒甲川シャワークライミング⇒大正蔵(しし鍋)⇒淀江海岸⇒木谷沢渓谷⇒お宿野乃⇒季節料理湖粋

3日目 小泉八雲記念館・旧居⇒堀川遊覧船⇒松江城⇒レストランろんじん⇒月照寺⇒美保館

4日目 出西窯(工房見学とウェットハンドル手法体験、民藝のしゃぶしゃぶ)⇒出雲空港(振り返り)

※青字がBisuiDaisenパート


4面


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淀江の宿今津田中家 瓦版22号 A4 4P
1P・2P Airbnbから始まったインバウンドの扉、3P「高付加価値なインバウンド観光地づくり」、4P淀江プロジェクト物語 第21話
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淀江の宿今津田中家 瓦版22号 A3 二つ折り
1P・2P Airbnbから始まったインバウンドの扉、3P「高付加価値なインバウンド観光地づくり」、4P淀江プロジェクト物語 第21話
瓦版22号202501A3.pdf
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