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【第10号】淀江で行われている東京大学の研究

1面

一昨年7月に始まった東京大学とのご縁

昨年2022年7月16日(土)~19日(火)、

徳永朋祥(とくながともちか)教授(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 科長、地球・資源システム工学、資源開発工学、愛媛県出身)をはじめとする6名の方々が、淀江の地下水(湧水)の調査に来られて、淀江の宿今津田中家に宿泊してくださいました。

勝部 日出男さん(株式会社ナレッジカンパニー代表取締役会長&CEO、東京在住、1949年生まれ、淀江町出身、「淀江古代ロマン遺跡回廊構想」推進会議 共同代表)が招聘されて始まったご縁です。

 地下水の調査に来られたメンバーの他に、

池田泉さん(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 学術経営戦略支援室 東京大学シニア・リサーチ・アドミニストレーター)も来訪され、まちづくりなどの観点から淀江をリサーチしてくださいました。

 2日目の夕食は、勝部さんも一緒に「地元丸ごと季節のBBQ」を提供。鳥取和牛、大山鶏のはらみ、大山豚、淀江の宿今津田中家の畑や近所で採れた夏野菜や椎茸のほかに、

山中文男さん(海の男でもある今津のありがたいご近所さん)が獲って剥いてくださった大量の牡蠣も、生で、BBQコンロで焼いて、蒸して、アヒージョで・・・といろんな形で食べていただくことができました。デザートは、

宮川卓也さん(和歌山県出身・鳥取大学農学部卒業・メイちゃん農場スタッフ)が、ヤギ乳のアイスクリームを持ってきてくださり、

山根正敬さん(北尾在住・調査にあたり地域ガイドを務められた)が持ってきてくださったスイカやたまご瓜、まくわ瓜などのスイーツもお出しして、地元の食材を堪能していただきました。

 

今年2023年4月に、淀江の宿今津田中家のオーナー 田中洋子が専務理事を務める 一般社団法人Bisui Daisen のメンバーで東京へ行った際、千葉県柏市にある東京大学柏キャンパスの徳永教授の研究室を訪ねました。その際に、

池田晃一さん(東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任研究員、都市デザイン、まちづくり)

伊藤有加さん(東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任助教、環境システム学専攻、兵庫県出身)

井上大悟さん(東京大学工学部システム創成学科4年 徳永研究室所属、佐賀県出身)

が同席してくださって意見交換を行い、井上さんが淀江の湧水についての卒論を書いてくださることになり、5月下旬には皆さんで淀江を訪ねてくださる予定であることなどもお話しいただきました。

卒論研究のための淀江訪問

2023年5月20日(土)~21日(日)、

水研究チームとして、徳永教授、伊藤さん、井上さんの他に

廣田 翔伍さん(東京大学大学院新領域創成科学研究科 研究員、福岡県出身)

また、まちづくり研究チームとして、池田泉 さん、池田晃一さんも淀江に来訪してくださり、田植えの手植えなども体験していただきました。

そして、2023年10月29日(日)~1日(水)

徳永教授、伊藤さん、廣田さん、井上さんが淀江に来訪してくださり、3日間、水調査のためのフィールドワークを実施されました。予備日にしていた最終日は、廣田さんと井上さんが残られ、

松田彩子さん(イギリスサセックス大学に留学中<2023年9月から休学>・淀江町出身)などとも一緒に、ありがたいご近所の山中さんのご指導の下、はでかけ米の足踏み脱穀や唐箕での選別体験、小豆の収穫などを行い、精米した新米で海鮮丼、収穫した小豆で赤飯やぜんざいを一緒に作って食べました。


2面

2023淀江研究滞在記

東京大学システム創成学科・徳永研究室4年 井上大悟

 瓦版の読者の皆様はじめまして。東京大学工学部システム創成学科・徳永研究室4年の井上大悟 (いのうえ だいご) と申します。僕は現在淀江にて、田中家さんを始めとする淀江の皆様のお力をお借りしながら、淀江の地下水や湧水に関して研究をさせていただいております。今回は僕の研究の内容から淀江での滞在の感想までざっくばらんにお話しさせていただければと思います。

なぜ淀江に?

 研究内容の紹介をする前に、なぜ淀江という地域に興味をもったのかについてお話しさせていただければと思います。僕は佐賀県佐賀市出身でして、佐賀という土地は地理的な要因から非常に水路が発達しており、人々の生活と水とのつながりが深い土地です。こういった土地で生まれ育った背景から、「水×地域社会」といったテーマに元々興味がありました。そして今年の4月、卒業研究のテーマを決める際に徳永教授にこういったことをお話しさせていただいたところ、「淀江」という地域は井上君にピッタリだと思いますよ、という旨の助言をいただきまして、その後、自分なりに文献等を調査した結果、淀江の豊富な地下水資源と地域社会のつながりや、太古からの歴史の積層に魅了され、ここで卒業研究がしたい!と思うようになりました。

何を研究しているのか

 僕の研究テーマは淀江の地下水がどこから集められ、どんなルートを通って、どこから湧き出しているのか、それを突き止めることです。これによって淀江の美味しい地下水の水質保全や観光資源としての地下水の活用等につながるのではないかと考えております。本研究のためにこれまでに2023年の5月と10月の合計2回、淀江を訪れまして、北尾在住の山根正敬さんご指導のもと、野山を駆け回り地下水を探しに行き、採水をさせていただきました。卒業論文ではこれらのデータをまとめまして、淀江の地下水流動系に関して一定の結論を出す予定です。

淀江に魅了されています

 僕の研究は地域の皆様のご協力がないと成り立たない研究です。勝手に人様の土地に入って行って「水を採らせてください!」だなんて、時代が時代であれば大変なことになっているかもしれません。ただ、淀江の皆さんは僕のような若造も非常に快く受け入れてくださり、その上に研究の協力までしていただき、本当に感謝してもしきれません。春までにしっかり研究をまとめ、結果を報告させていただきたいと思っております。

これまで、といってもまだ2回だけですが、実際に淀江を訪れまして、まずご飯が美味しく、そして、面白い人が沢山いらっしゃるなぁという感想を抱いております。

個人的な話にはなりますが、前回10月に淀江を訪れた際、数日前まで原因不明の食欲不振に悩まされており、どんな食べ物を前にしても一切食欲が湧かず困り果てていたのですが、淀江に来て数日、朝昼晩、淀江のお魚やお肉や果物(柿と梨が旬でした)を食べているうちに、みるみる症状が改善し、最終日は朝食にお赤飯と大山ウインナーをいただいた後、お昼に海鮮丼、おやつに自家製ぜんざいまで平らげることができる程回復しました。淀江は来る度に元気をもらえる不思議な土地です。

今後の展望

修士課程においても同じく徳永研究室でお世話になる予定でして、研究内容の方も変わらず、淀江地域に関しての研究をさせていただきたいと考えております。今後の展望としては、現在の研究を更に深化させて、淀江の地下水や湧水に関する理解を深めていくと同時に、研究と並行しまして淀江の地域社会や文化等に関して勉強させていただき、地域の皆さんとの交流も深めていけたらと考えております。

田中家さんをはじめ、淀江の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


3面

「淀江プロジェクト」物語 人物相関図

これまでのストーリー

鳥取県米子市淀江町今津。建ってから90年近く経つ田中家。

2017年9月に洋子の父 茂が亡くなって空き家になり、実家を相続することになった洋子と弟 衆。相続手続きなどを行いながら、売却や活用などを模索し、離れをゲストハウスとして活用することを決意。大量の荷物で溢れていた母屋をどうしていくか、考えあぐねていた2018年冬、洋子の前に、サハラクミコ(姐さん)、野崎将太(しょうきち)、宮原翔太郎(翔太郎)といったこの物語の主な登場人物たちが救世主として現れ、「淀江プロジェクト」がスタートする。

これからのストーリー

2~3ヶ月に1回のペースで、入れ替わり訪れる若者たち。大量の荷物の片付けからスタートし、約3年余で30弾、実数100名余、延べ人数280名余が関わってくれた「淀江プロジェクト」は、洋子のUターン、人々の交流を妨げる謎の伝染病、母屋のゲストハウス化なども挟みながら、紆余曲折を経て、様々な営みや交流が体験できる「みんなの実家」としての機能を兼ね備えていく…。

 ユニークなメンバーで織りなす「淀江プロジェクト」物語を引き続きお楽しみください。

淀江プロジェクト 人物相関図・登場人物紹介

詳細はYodoe project のページをご覧ください。


4面


ダウンロード
淀江の宿今津田中家 瓦版10号 A4 4P
1P「淀江で行われている東京大学の研究」、2P「2023淀江滞在記」3P 淀江プロジェクト物語人物相関図、4P淀江プロジェクト物語 第9話
瓦版10号202401A4.pdf
PDFファイル 4.3 MB
ダウンロード
淀江の宿今津田中家 瓦版10号 A3 二つ折り
1P「淀江で行われている東京大学の研究」、2P「2023淀江滞在記」3P 淀江プロジェクト物語人物相関図、4P淀江プロジェクト物語 第9話
瓦版10号202401A3.pdf
PDFファイル 4.3 MB